猫の草200円

堺東駅前の商店街にあるカラオケ居酒屋は、もう見るからに古くてずいぶん前に醤油で煮しめられてそのままにされているような風合い。暗い路地に地味にある。クンクンと興味を示す私に「君の感性はちょっとずれているんだよなぁ。」と言ったのはちびこちゃんですが、先日、今度はきのこさんと通りかかって酔った勢いも手伝って入ってみました。わ〜、ほんとに古い〜。カウンターだけの小さなお店で渋いマスターと明るい奥さんがビール飲みながら仲良さそうに働いています。お客さんはもちろん常連さんだけ。店は50年やっていて、お客さんは30年通ってるのだそうです、うはぁ。カラオケは一曲200円。
私達は初めての店に少し戸惑いながら椅子に座りビールを頼み、カラオケ本をめくるのですが、突然こんな客に入ってこられた店側もビックリしたよう。鞄はここに掛けとくよ、つまみはこれで良いか、トイレはここの奥だぞ、さあさあ歌を入れなさい、などなど気を使わせてしまいました。「亜麻色の髪の乙女」「星の流れに」「十九の春」「22才の別れ」「秋桜」我々の歌った歌達。お客さん方は「まぶたの母」「遠くに行きたい」「カスバの女」「ドナドナ」などなど(他知らない歌多数)。「星の流れに」を70才くらいのお客さんと一緒に歌ったときなどは、「こんな歌を覚えちゃいけないよ。」という言葉をもらいました。そうなんだよなぁ。その歌が本当に自分の人生と重なっていた人は、苦労知らずの小娘が知った風にのんきに歌うのを聞くと「おいおい、歌詞の意味わかってるの?なんだかなぁ。」って思うよなぁ。マスターはキーがずれていると、ささっとカウンターの中で音程を合わせて「これで歌ってみて。」と渋く言う。プロだね。いろいろと勉強。

待ち合わせに遅れてきた友達に「もう、快速を三本も見逃したよ!」という高校生。「見送った」だよね?わかるけど。