他人事ではない。

 イラクで人質になっていた日本人青年が首を切断された遺体で見つかった。彼は確かに軽率だった。甘かった。しかしこのニュースは本当に辛い。彼は私であったかもしれない。ボランティアでもなく、ジャーナリストでもなく、仕事も無い只の旅行者の私。旅行をしていて多少危険な地域であっても、行って帰った人の話を聞いて自分も行けるような気がするのはわかる。実際意外にすんなり行けることもある。ここまで来たらあそこまで足を伸ばそうという気持ちになる。土地情報を持っていれば初めての土地でも楽に進めることもある。土地の人々も親切だろう。しかし、それは「そういうこと」もあるのであって、「そうではないこと」も同じくらいにある。それでも前に進んでしまう。「どうにかなるだろう。」これは私の姿だ。このような人間が人質となり、国と国との力に挟まれ取引に利用され助けてもらえず殺される。あれが私であっても、殺されていた。日本政府は自衛隊を引く事は無かった。彼の姿にリュックを背負って旅行をしている沢山の人達が重なって見える。久しぶりにかけた電話の向こうで安堵の涙を流していた母の声を聞いて「え、なぜ泣いているの?」とのん気に戸惑った私が重なって見える。彼はまだ24歳の若さだった。心から冥福を祈る。
旅行人⇒http://www.ryokojin.co.jp/mfb/float.cgi?bbs=forum&thread=41031211417