人の小さな話が好き

・先日飲んでいたときに同僚が突然、ずっと忘れていたけど今急に思い出した、と言って話したエピソード。
小学生の時、授業中、急に両親がスーツ姿で学校にやってきて、先生と何か話をしていたかと思うと、先生があわてて「〇〇君、お父さんお母さんと一緒に帰りなさい」と言うのだそう。びっくりして、一つ上のお姉さんと一緒に学校を出ると、両親が「サーカスにいくぞ!」と言って、そのままみんなでサーカスに行った。忘れていたけど、あれは楽しかったなぁ…と同僚。
今の私はこの両親の気持ちになって、ワクワクすることができる。子どもたちがどんなにびっくりするか、どういう理由を作って早退させるか、そのためにはどんな服装で行ったらいいのか、計画段階でワクワクする。

・大学時代の恩師が、講義中に口に出した小さなエピソード。
この前の夏、ドイツに行ったとき、湖の畔でどこかからこの曲(Wat`s going on)が流れてきて、泣きそうになったなぁ。
暗い講義室の中で曲を聴きながら、夏、ドイツ、湖畔、聞こえてくるメロディ…その時の感動を想像して私もキラキラした良い気分になった。

・前の前の職場にいた、定年退職後に外事顧問として働いていた当時70歳くらいの元外交官のおじさんが話していたこと。
まだ若い時、仕事でウィーンに行った。仕事で行った建物の一つの部屋の扉が少し開いていたので、ちょっと覗いてみたら、その中は白いドレスやタキシードで優雅に踊っている人々で埋め尽くされていた。豪華で華やかで上品な、社交界デビューのダンス!あれは感動したよ。
話を聞きながら、暗い廊下に漏れるドアからの光と、その中の音楽や人々の熱気、そして突然目の前に広がる光景に驚く若い日のおじさんの驚きと感動を想像できた。

こういう他人の小さな話は、時々思い出して良い気持ちになる。
私が誰かにしたこういう小さな話も、誰かの中で記憶されているのだろうか。