三線が聞こえる


三線をもう一度やりたいなぁと常々考えながらもなかなか始められなかった東京暮らしの一年。先週の土曜日、お休みだけども朝早く目が覚めたので、たまっていたビン、缶を出してから近くのパン屋へ朝食を買いに行きました。朝早いと気分がいいわい、とぶらぶら歩いていたら、どこからか三線の音が聞こえる。「む、これは、生音。」よーく耳をすますと、ラーメン屋と不動産屋が並んで入っている古びたモルタル造りの建物の二階から聞こえてくる様子。

しばらくその場に立ち止まって聞いていたけれど、一人でぽつんと道に立ち尽くす姿は怪しいし、ラーメン屋のおじさんがこちらを不審げに見ている気がして、とりあえずパンを買いに。

サンドイッチと牛乳を買って、帰り道。やっぱり気になる三線の音。今度は音が聞こえてくる窓の下で立ち止まって様子を伺う。小声だけども歌も聞こえる。三線も結構うまい。うーん、この近くで習ってんのかナァ、この人が教えてたら近くていいのにナァ、としばらくその家の前でウロウロ、ニタニタしていると、ラーメン屋のおじさんが明らかに怪しがってこちらを見ている。調度いい、聞いてみよう。

「すみませ〜ん、この三線弾いてる人はどなたですか?」
「(不審そうに)ええ?」
三線、私も習っていたもので…」
「ああ、この隣の店の息子だよ。試験受けに行ったりしてるみたいよ。師範まで取るんじゃないの。」

「そうなんですかぁ。」

「ちょっと、行って話してみなよ。そこの奥にベルがあるから押してみな。今日はみんな出かけてるから、息子だけのはずだよ。」

「いやぁ〜。(そんな突然!)」

「行ってみなよ!そこの一番奥の部屋でやってるから。奥にベルがあるから。」

う〜ん、そうですねぇ。「(見ず知らずなのに!?)」

どうも、不動産屋の息子さんが趣味でやってるらしく、ラーメン屋のおじさんの口ぶりだと気軽に尋ねて行っても平気そう。言われるままに家の呼び鈴を押す。「ぴんぽーん」

「はい。」

三線の音がとまって、頭の上から声が。

偶然通りかかった物ですが…と、事情を説明して色々とお話を聞く。

新宿の教室で2年習っている人で、今度コンクールがあるので今日は朝から練習している。自分はネットで新宿の教室を探したが、この辺では余り教えているところが無い。自分の先生はなかなかいい先生なのでよければ一度連絡をしてみると良い。

突然訪ねたにもかかわらず、人の良さそうなお兄さんがいろいろ説明してくれました。先生の名刺をいただき、ラーメン屋のおじさんに挨拶をして帰宅。帰り道に新聞を買って、サンドイッチを食べながら目を通す。牛乳も飲んだらお腹が一杯になったのでもう一度ベッドにもぐりこんで二度寝

土曜日の朝のちょっと面白い出来事でした。

※写真は大阪から持ってきた三線と極秘ルートで手に入れた(笑)ウクレレ。これがとっても良く響く!!大きな声で歌いたーい。引越ししたーい。