フランスで暴動。以前講義で見たフランス映画『憎しみ』を思い出す。

垂直の分極化によってうみだされる距離からくる無力が、水平の暴力に内向する、という動きが現代の暴力に大きな線として貫通していると

エス先生『暴力の哲学』の中の一文。水平な分断化とは民族的な分裂、対立。垂直の分極化とはグローバリゼーション、ネオリベラリズム政策などによる貧富の格差としての上層と下層の分裂。

この二種類の暴力をきれいに区分してしまうのはむずかしいし危うい。まずこの階級と民族という二つの要素はたいていの場合重層決定しているということもあります。またいわゆる民族紛争や宗教戦争とされるものの背景にはこの垂直の分極化が引き金になっていることも多いし、あるいは、むしろその次元の問題―資本主義の引き起こす問題―を隠蔽するためにこそ、民族紛争や宗教戦争の契機が強調されることも多いからです。