にせもの

眼が覚めて、でもまだ眼を開けていないとき、今自分がどこにいるのかわからなくなる。実家?昔のアパート?昔の寮?眼を開けた瞬間、すごい力で「今」に引き戻される。そうかここは大阪。私は去年からこの部屋にいるんだった。
眼の見えない人は夢の続きと現実の朝のぼんやりとした境目からどうやって覚醒していくのかな。明かりを感じずに朝が来たことをどうやって知るのかな。時計の音、鳥の声、ゴミ回収車の音楽、テレビの音、ご飯の炊ける匂い、コーヒーの匂い。