想像の犬の意思

会社の帰り道、暗くなった住宅街を自転車で走る私の目の前を、柴犬風の犬が小走りに横切って行った。(野良犬!?)珍しいなぁと思っていると、その犬は道沿いにある小学校の門の下のわずかな隙間を、もぞもぞと無理やりくぐって校庭の中に入って行った。ははぁ、散歩の嫌いな飼い主が犬を放して、犬だけが勝手に散歩に来ているに違いない。

それからそこを通るたびに小学校の中に犬がいないか気にしていた。犬はいないけど門の下に、白い犬の毛が付いている。ああ、あの犬が無理やりくぐるから、毛が門の下にくっついてこうなるんだなぁ。生え換わりの季節だし。今日もくぐったんだなぁ。そう思っていた。そこを通るたびに。「広い校庭!ひゃっほー!」っていう犬の意思を想像してなんだか笑いそうな気持になっていた。

のに、今日じっくり見たら、全然そうじゃなかった。汚れだった。悔しいから写真を撮った。先入観の仕業。